Posted on 2013年5月29日
1920年代のはじめ、
まさにイギリスの社会の階級構造が揺さぶられつつあったとき、
マンチェスター出身のサイモン・マークスと3人の義理の兄弟たちが、
彼らの安売り店マークス・アンド・スペンサーを
社会の担い手にすべく一歩を踏み出した。
高品質でありながら高価でない
ランジェリー、ブラウス、ストッキングなどの
商品を購入する新たな消費者が、当時大量に生まれていた。
続いて同社は、前例のない中核的能力を手に入れるべく、
次の一歩を踏み出した。
それまで小売業にとって、中核的能力とは買付能力だった。
しかし同社は、顧客を知っているのはメーカーではなく自分たち小売であるとした。
自ら商品の設計と開発を行い、
設計、仕様、コストに合う商品が作れるメーカーを探した。
小売の下請けになることなど夢にも思っていなかったメーカーに対し、
この新しい自分たちの事業の定義を受け入れてもらうには5年から8年を要した。
【未来への決断】
Posted on 2013年5月28日
事業の定義は三つの部分からなる。
第一に、組織をとりまく経営環境である。
社会、市場、顧客、技術である。
第二に、組織の使命である。
これが組織にとっての成果を明らかにする。
経済や社会に対し、何を貢献するつもりかを明らかにする。
第三に、組織の使命を達成するうえで
必要な中核的能力(コア・コンピタンス)である。
これは組織がリーダーシップを維持していくためには、
いかなる分野で抜きんでなければならないかを明らかにする。
【マネジメント】
Posted on 2013年5月27日
NPOだけが市民のためのコミュニティ、
特に先進社会の中核となりつつある
知識労働者にとってのコミュニテイをつくることができる。
なぜならば、NPOだけが教会から職種別団体、
健康クラブからホームレス支援組織にいたる
多様なコミュニティを提供することができるからである。
しかもNPOだけが、もう一つの都市社会のニーズ、
すなわち、市民性の回復を実現してくれるからである。
20世紀において、われわれは政府と企業の爆発的な成長を経験した。
21世紀において、われわれはが必要とするものは、
新たな人間環境としての都市社会に
コミュニティをもたらすべきNPOの、同じように爆発的な成長である。
【ネクスト・ソサエティ】
Posted on 2013年5月24日
この問いに答えを出すには、
自らがベストを尽くせるのはどのような環境かを知らなければならない。
大きな組織か、小さな組織か。
人と一緒か、一人か。
締め切りは必要か、必要でないか。
得るべきところはどこかとの問いへの答えが、
今働いているところではないということであるならば、
次の問いは、それはなぜかである。
組織の価値観に馴染めないからか。
組織に緊張感がないからか。
そのようなとき、人は確実にダメになる。
組織の価値観が自らの価値観にあっていないならば、
人は自らを軽く見るようになる。
こうしたとき、あるいは成果が認められない時には、
その組織を辞めることが正しい道である。
【非営利組織の経営】
Posted on 2013年5月23日
たとえば、自分がよくできることと仕事との価値観が合わない。
世の中に貢献しているとの実感が湧かず、
人生、あるいはその一部を割くに値しないと思えることがある。
私自身、成功していたことと価値観に違いに悩んだことがある。
1930年代の半ば、私はロンドンの投資銀行で順風満帆に仕事をしていた。
強みを発揮していた。
しかし、私にとって価値あるものは金ではなく人だった。
金持ちになることに私は価値を見いだせなかった。
大恐慌のさなかにあって、
貯えがあるわけでも他に職の見通しがあるわけでもなかった。
だが、私は辞めた。それは正しい行動だった。
つまるところ、優先すべきは価値のほうである。
【明日を支配するもの】
Posted on 2013年5月22日
しかも、仕事が心を躍らせるのは、
仕事を通じて自己刷新がはかられるときである。
その自己刷新の王道が、予期せぬ成功の追求である。
成長に必要なものは責任である。
責任をもつということは、
仕事にふさわしく成長したいといえるところまで
真剣に仕事に取り組むことである。
責任に焦点を合わせるとき、
人は自らについてより大きな見方をするようになる。
【非営利組織の経営】
Posted on 2013年5月21日
情報型組織が必要とするのは、
現場管理者からトップにいたる自己規律と責任である。
かつての組織は権限に基礎をおいていた。
これからの情報型組織は責任に基礎をおく。
情報の流れは、下から上へ向かった後、再び下に向かって循環する。
情報型組織は、組織内の個人及び部門が、
自らの目標、優先順位、他との関係、
コミュニケーションに責任をもつときにのみ有効に機能する。
そしてはじめて迅速な意思決定と対応が可能となる。
情報型組織の利点は組織内に相互理解と共通の価値観、
なかんずく相互信頼があって現実のものとなる。
【マネジメント・フロンティア】
Posted on 2013年5月20日
知識労働の生産性向上の条件は、大きなものだけで6つある。
第一に、なされるべきことを考えることである。
「どうやるか」を考えるのではなく、「何をやるか」を考えるべきである。
第二に、働く者自身に生産性向上の責任をもたせることである。
すなわち、自らをマネジメントさせることである。
自律性をもたせることである。
第三に、継続してイノベーションを行わせることである。
第四に、継続して学ばせ、かつ継続して人に教えさせることである。
第五に、知識労働の生産性は、
量よりも質の問題であることを認識させることである。
第六に、知識労働者をコストではなく資本財として扱うことである。
何にもまして知識労働者自身が、組織のために働くことを欲しなければならない。
【明日を支配するもの】
Posted on 2013年5月17日
今日ではインターネットが、
何を、どこで、いくらで手に入れられるかを教える。
今やeコマースが、流通の新しいチャネルを生み出しつつある。
ここに一つの例がある。
メキシコで設計会社を立ち上げた起業家は、
競争がグローバルであることを
組織の全員に理解させなければならなくなっている。
身近に競争相手がいなくても、
顧客はグローバルな競争状態を熟知し、
グローバルな水準の設計を要求する。
したがって、社員の全員が、競争はグローバルであって、
グローバルな競争相手に勝つべきことを理解しなければならない。
【明日を支配するもの】
Posted on 2013年5月16日
利益とは、それがなければ他のいかなる責任も果たせず、
よき雇用者にも、良き市民にも、良き隣人にもなれないというものである。
だが、経済的な成果だけが企業の唯一の責任ではない。
組織なるものは、従業員、環境、顧客、その他何ものに対してであれ、
自らがかかわりをもつあらゆるものに対して与えるインパクトについて責任がある。
それが組織の社会的責任である。
加えて社会は、社会の病そのものに取り組むことも求める。
ただし、この点に関しては慎重でなければならない。
意図がよくとも社会的責任を果たしたことにはならない。
本来の目的を遂行する能力を傷つけるような責任を受け入れたり、
買って出たりすることは無責任である。
能力のない分野で行動することも無責任である。
【未来への決断】
Posted on 2013年5月15日
彼はそのようなマネジメントスタイルについて、
CEOたる者は客観的でかつ公正でなければならないといっていた。
「超越した存在でなければならず、
好き嫌いどころか、仕事のやり方さえ気にしてはならない」
「唯一の規律は成果と人物である。
交友とは両立しない。
社内に友人をもち、仕事以外の話をするのでは公正たりえない。
少なくとも公正には思われない」
「害のあることに変わりはない。
もちろん孤独、距離、形式が性に合わない者もいる。
私もそうだった。しかし、それが務めだった」
【状況への挑戦】
Posted on 2013年5月14日
組織のリーダーを選ぶには何を見なければならないか。
第一に何をしてきたか、何が強みかを見る。
成果をあげるのは強みによってである。
したがって、その強みを活かして何をしてきたかを見る。
第二に、組織がおかれている状況を見て、
行うべき重要なことは何かを考える。
そしてそのニーズに強みを合わせる。
第三に、真摯さを見る。
リーダー、特に強力なリーダーとは模範となるべき者である。
組織内の人たち、特に若い人たちが真似をする。
【非営利組織の経営】
Posted on 2013年5月13日
変化は組織の外で起こる。
小売業は自社の店舗で買い物をする人たちについては
多くを知ることができる。
しかし、いかに繁盛したとしても、
その顧客は膨大な市場の一部にすぎない。
圧倒的多数がノンカスタマーである。
そして、基本的な変化が始まり、
それが重大な変化に発展していくのは、
彼らノンカスタマーの世界においてである。
同時にこの50年間において、
産業そのものを変えた重要な技術のうち少なくとも半分が、
それぞれの産業以外のところで生まれたものだった。
【明日を支配するもの】
Posted on 2013年5月10日
事業の将来は、四つの分野における
今日のマネジメントの仕事ぶりによって左右される。
第一に投資である。
投資収益率を期待に照らして評価しなければならない。
第二に人事である。
人事の成果は評価不能ではない。かなり容易に評価できる。
第三にイノベーションである。
研究開発の成果は評価できる。
第四に戦略である。期待したことは起こったか。
目標は正しかったか。目標は達成されたかである。
【乱気流時代の経営】
Posted on 2013年5月9日
生産的なイノベーションとは、単なる改良ではない。
それは新しい欲求の満足をもたらす財とサービスの創造である。
そのような製品の価格は、かえって高くなる。
しかし、全体としての効果は、はるかに経済的である。
抗生物質は、昨日の医者が肺炎と戦うために
使っていた冷温湿布よりも高価である。
コンピュータは計算機よりも、
タイプライターは羽ペンよりも、
コピー機はカーボン紙よりも高価である。
癌の特効薬が生まれれば、最高の葬儀よりも高価かもしれない。
【マネジメント】
Posted on 2013年5月8日
貢献に焦点を合わせることによって、
自らの狭い専門やスキルや部門ではなく、
組織全体の成果に注意を向けるようになる。
成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向けるようになる。
自らの専門やスキルや部門と、
組織全体の目的との関係について徹底的に考えざるを得なくなる。
政策にせよ、医療サービスにせよ、
自らの組織の産出物の究極の目的である顧客や患者の観点から
物事を考えざるを得なくなる。
その結果、仕事や仕事の仕方が大きく変わっていく。
【経営者の条件】
Posted on 2013年5月7日
貢献に焦点を合わせることが、
仕事の内容、水準、影響力において、
あるいは上司、同僚、部下との関係において、
さらには会議や報告の利用において成果をあげる鍵である。
ところがほとんどの人が下に向かって焦点を合わせる。
成果ではなく努力に焦点を合わせる。
組織や上司が自分にしてくれるべきことを気にする。
そしてなによりも、自らがもつべき権限を気にする。
その結果、本当の成果をあげられない。
【経営者の条件】
Posted on 2013年5月2日
事業においては、リスクを最小にすべく努めなければならない。
だが、リスクを避けることにとらわれるならば、
結局は最大にしてかつ最も不合理なリスク、
すなわち無為のリスクを負う。
【創造する経営者】
Posted on 2013年5月1日
事業活動とは、変化を起こそうとする経済活動である。
それは、座っている椅子の脚をノコギリで挽くことに似ている。
現在のリスクをさらに危険なものとし、
あるいはまったく新しいリスクを生み出そうとする。
【現代の経営】
Posted on 2013年4月30日
今日、最強の企業といえども、
未来に対する働きかけを行っていなければ苦境に陥る。
個性を失いリーダーシップを失う。
残るものといえば、
大企業に特有の膨大な間接費だけである。
マネジメントたる者は、
未来において何かを起こす責任を受け入れなければならない。
進んでこの責任を引き受けることが、
たんに優れた企業から偉大な企業に区別し、
サラリーマンから事業家を峻別する。
【創造する経営者】
Posted on 2013年4月26日
人口の変化こそ
労働力、市場、社会的圧力、経済的機会
にとって基本となる動きである。
すでに起こった人口の変化は逆転しない。
しかも、その変化は早く影響を現す。
出生率の上昇が、
小学校の施設に対する圧力となって現れるのは、
わずか5、6年後である。
【創造する経営者】
Posted on 2013年4月25日
知識を基盤とする新産業の成否は、
どこまで知識労働者を惹きつけ、
とどまらせ、
やる気を起こさせるかにかかっている。
彼らの価値観を満足させ、
社会的な地位を与え、
社会的な力を与えることによって、
活躍してもらわなければならない。
そのためには、部下ではなく同僚として、
高級の社員ではなくパートナーとして遇さなければならない。
【ネクストソサエティ】
Posted on 2013年4月24日
成果をあげる者は、社会にとって不可欠な存在である。
同時に、成果をあげることは、
新入社員であろうと中堅社員であろうと、
本人にとって自己実現の前提である。
そして成果をあげる人たちは、
気性や能力、職種や仕事のやり方、
性格や知識や関心において千差万別である。
彼らの共通点は
なすべきことを成し遂げる能力を持っていることだけである。
【経営者の条件】
Posted on 2013年4月23日
経済的な領域を社会の中心的な領域とすること、
まさにそのことを、やめるということは、重大な意味をもつ。
それは、人間は「経済人」であるとする理念、
人間の自己実現は経済的な成功と経済的な報酬によって
図られるとする信条を捨てることを意味する。
もはや我々は、
人間の本質および社会の基盤としての「経済人」の
理念を維持することはできない。
我々は、人間の本質および社会の目的についての
新しい理念を基盤として、
自由で機能する社会をつくりあげなければならない。
【産業人の未来】
Posted on 2013年4月22日
マルクス社会主義の成否は、
自由と平等のない資本主義を打倒し、
階級のない社会を実現できるかにかかっていた。
そしてまさに、マルクス社会主義が教義としての力を失ったのは、
階級のない社会を実現できず、
それどころか、
自由のない硬直的な階級を必然的にもたらさざるをえなかったからだった。
【経済人の終わり】
Posted on 2013年4月19日
今日、自由と平等の約束が幻想にすぎなかったことは誰でも知っている。
経済発展は、機会均等という名の形だけの平等さえもたらさなかった。
そのかわり、
ブルジョア階級というきわめて閉鎖的な恵まれた階級を生み出した。
プロレタリアがそこに入ることは、
そこから資産家階級に入るのと同じように困難だった。
【経済人の終わり】
Posted on 2013年4月18日
人間を経済的動物(エコノミック・アニマル)とする理念は、
経済活動をあらゆる目的を実現するための手段としてみる
ブルジョア資本主義社会、およびマルクス社会主義社会の基盤である。
もっぱら経済的な満足が、社会的に重要であり、意味があるとする。
【経済人の終わり】
Posted on 2013年4月17日
先進国は今、集団自殺しつつある。
人口を維持しうるだけの赤ん坊を生んでいない。
理由は簡単である。
若い人たちが、増大する高年者人口を扶養しきれなくなったからである。
重荷に耐えるには、高年者の対極にある子供を減らすしかないからである。
出生率の回復はあり得なくはない。
だが、今日のところ、
先進国でベビーブームが再現する兆しはない。
しかも、出生率がベビーブーム時の3.0の水準に急上昇したとしても、
それらの赤ん坊が教育を受け、
生産力をもつ成人に育つには、25年を要する。
【P・Fドラッカー経営論集】
Posted on 2013年4月16日
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どの仕事が重要であり、
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どの仕事が重要でないかの決定が必要である。
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優先順位の決定について最も重要なことは、
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自らその優先順位を決定することである。
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間違っても仕事からの圧力で決定してはいけない。
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なぜなら、仕事からの圧力は、
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未来よりも過去に起こったものを、
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機会よりも危機を、
外部に実在するものよりも内部の直接目に見えるものを、
さらには、重大なものより切迫したものを優先するからである。
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【経営者の条件】
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Posted on 2013年4月15日
なすべきことは、利用しうる資源よりもあまりにも多い。
機会は実現のための手段よりも多い。
したがって、優先順位を決定しなければ何事もなしえない。
優先順位の決定によって、
よき意図が
成果をあげるコミットメントへ、
洞察が行動へと具体化する。
優先順位の決定が、マネジメントの視点と真摯さを物語る。
基本的な戦略と行動を規定する。
【創造する経営者】